レザークラフトを始めて、いろいろと革の情報をネットで収集してきました。
しかし、ネットの情報なんてどれが本当でどれが嘘なのかわかりません。
やはり、実際に人に会って、自分で確かめた情報というのが一番信用できます。
ということで、姫路の製革所(タンナー)の見学に行ってきました。
姫路は日本最大の革産地
日本の革で有名な革といえば「栃木レザー」です。
レザークラフトをやっている人なら一度は栃木レザーを使ってみたいと思うと思います。
この栃木レザーは
「栃木で作られた革」
だと思っている人もいますが、それは間違いです。
栃木レザーは「栃木レザー株式会社」というタンナーが作っている革のことです。
栃木レザーが有名なため、日本の革の産地は栃木が多いと思っている人もいるかもしれませんが、実際は姫路が多いです。
日本のタンナーの約7割は姫路にあります。
そして、姫路にはいろいろなタンナーがあり、
いろいろな種類の革が作れらています。
もちろん栃木レザーに負けない品質のヌメ革もあります。
ただ、あまり知られていないだけです。
栃木レザーと同じピット鞣しのヌメ革工場
まず、最初に訪れたのは、おそらく姫路市のタンナーの中で一番大きなタンナーです。
このタンナーは栃木レザーと同じピット層を用いたタンニン鞣しの革を製造しています。
ピット層は深い水槽のようなもので、
その中にタンニン入りの水を貯めて、
そこに革を漬け込んでタンニンを染み込ませていきます。
ピット層は以下の写真のようにたくさん並んでいました。
一つのピット層に半裁40枚まで入るらしいです。
ピット層につけておく期間は大体1カ月らしく、
そのあと自然乾燥させるのに約1カ月。
こんな感じで干されてました。
ということで、ピット層で革を作る場合約2カ月の期間が必要になります。
もちろん革の製造工程はピット層に漬け込んで、乾かして終わりではありません。
乾かした後にも、染色したり、オイルを入れたり、プレスしたり、いろいろな工程があります。
ピット鞣しの場合、製造に多くの時間がかかってしまうため、
現在では日本でピット層を使っているタンナーは数社しかいないそうです。
多くのタンナーは以下の写真のように「たいこ」を使って鞣しているそうです。
本物のヌメ革
このタンナーさんのところでは本物のヌメ革についても教えてもらいました。
そもそもヌメ革というのは
「ピット層でタンニン鞣しの革」
のことを言うそうです。
いろんな革の通販ショップでヌメ革と書かれて販売されている革がありますが、
そのほとんどはピット鞣しとは書かれていません。
ピット鞣しと書かれていないショップのヌメ革が本物かどうか怪しいです。
極端に安かったりするとたいこ(ドラム)鞣しの可能性が高いです。
本物のヌメ革ならds単価100円以上が普通だと思います。
ちなみに、以下の写真が出荷前の本物のヌメ革です。
たいこ鞣しとピット鞣しの違い
ついでに、たいこ鞣しとピット鞣しの違いについても聞いてみました。
たいこ鞣しの場合、タンニンと水と原皮を太鼓の中に入れてぐるぐる回して、原皮の中にタンニンを押し込んでいきます。
そのため、2日くらいで鞣しが終わります。
ピット層の15分の1の時間です。
たいこ鞣しの場合、革をぐるぐる回すため、繊維が若干ほぐれてしまうみたいです。
それに比べて、ピット鞣しは自然にタンニンが染み込んでいくのを待つので、繊維が引き締まった状態で革になります。
つまり、繊維の引き締まり具合が違うということになります。
これは結構大事で、
例えばコバの仕上がり具合が変わってきます。
磨いても磨いてもコバがきれいにならない場合は繊維がほぐれすぎているのかもしれません。
感想
さいごに感想としては、
姫路のタンナーさんはブランディングがうまくないんだなと感じました。
革の質自体は栃木レザーにも劣らないから、
うまくブランディングをすれば、もっとたくさん売れるだろうなと思いました。
まぁそうなったら革の価格も上がって買いにくくなってしまうので、いまのままでもいいっちゃいいんですが。
無名だけど、品質は最高というかんじの革でした。
PS・
ちなみに、栃木レザーの有名な赤タグですが、あれは大阪のある会社が作って付けたらしいです。
それで一気にブランディング化が進み、今のように有名になったらしいです。
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