革といっても、いろいろな種類があります。
これからレザークラフトを始めようという人は、ひとまず革にどんな種類があるのか、どういう特徴があるのかというのを頭に入れておくと、作品作りにおいて、作品に適した革選びができます。
ということで、今回はレザークラフトに使用される革について解説していきます。
皮(SKIN)から革(LEATHER)へ
レザークラフトで使用される革は動物の皮膚です。
動物の皮膚はそのままでは腐ってしまいます。そのため、皮(SKIN)に防腐処理を施します。
この防腐処理を「なめし」といい。なめした後の素材が革(LEATHER)です。
なめしの種類
革はなめし方によって、特性が異なります。
代表的ななめし方は2種類あります。タンニンなめしとクロムなめしです。
まずは、この2種類のなめし方の特性を覚えておくといいと思います。
革の特性(使い込むうちに色が変わるとか、形がなじんでくるとか)を生かした作品を作りたいならタンニンなめしの革を使うといいです。
タンニンなめし
植物性の薬剤であるタンニンで皮をなめす方法をタンニンなめしといいます。
タンニンなめしを行った革は肌色系統の色になります。
この後、染色剤などで色を着けたものが一般的に販売されています。
染色剤で色を着けていないタンニンなめし革はヌメ革と呼ばれます。
タンニンなめしを行った革は丈夫で伸びにくいが、傷つきやすいという特徴があります。
また、使っているうちに形がなじんできたり、色が変わってくるという特徴もあります。
経年変化を楽しみたいならタンニンなめしの革を使いましょう。
なお、革の製造工程には、なめしの後に仕上げという色を付けたりする工程があります。
仕上げの方法によっては、タンニン鞣しの革でも経年変化の少ない革になったりするので、
タンニン鞣しだからといって経年変化する革ではないことを知っておいた方がいいです。
仕上げに関しては、以下の記事の最後の方で紹介しているので、ぜひ読んでみてください。
参考記事:レザークラフト初心者が知るべき革材料の買い方|半裁で販売されている革
クロムなめし
科学的な薬剤であるクロムを使って革をなめす方法です。
クロムは人工的に作ることができるため、タンニンよりも安価です。
クロムなめしを行った革は青色になります。この後、染色剤などで色を着けた状態で販売されています。
クロムなめしの革は柔軟性と弾力性があるため傷つきにくく、耐熱性が高いという特徴があります。
個人的には手縫いをするには少し柔らかすぎる感じもします。
コンビネーションなめし
コンビネーションなめしはクロムなめしの後にタンニンなめしを行う方法です。
タンニンなめしとクロムなめしの中間のような特徴をもった革にります。
革の部位
動物の革は繊維の方向が部位ごとに違います。
そのため、場所によって伸びやすい方向と伸びにくい方向が違ってきます。
このことを頭に入れておいて、自分が切り出すパーツはどの部分を使ったほうがいいか考えましょう。
下の画像の矢印の方向には伸びにくく、矢印に対して垂直な方向に伸びやすいです。
革の大きさの単位ds(デシ)
販売されている革の大きさはデシ(ds)という単位で表現されています。
1dsは10cm×10cmの大きさになります。
また、デシ以外にも半裁と書かれて売られている場合もあります。
これは、牛1頭分の半分の革という意味です。
自分が作りたいもののパーツを切り取ることをイメージして革の大きさを選ぶようにしましょう。
革の厚さについて
革は厚さによって、曲げやすさや強度、硬さが変わります。
大体1mmから0.5mm刻み(1mm、1.5mm、2mm・・・)で売られています。
革の厚さは革を漉く(すく)ことによって薄くすることができます。
そのため、とりあえず厚い革を購入して、自分が好きな厚さに漉くということもできます。
しかし、革全体を均一な厚さに漉くのは初心者には難しいため(というよりは無理)、最初のうちは作りたいものに合った厚さを考えて、革を購入するといいでしょう。
個人的には、とりあえず、2mmか1.5㎜くらいの暑さの革を購入しておけば、
財布、名刺入れやトートバッグなどは作れると思います。
カービングなどが目的でないなら、これくらいの厚さの革がちょうどいいです。
参考記事:レザークラフトにおける革の厚さの選び方
革の銀面と床面とコバ
革にも表と裏があります。そして、それぞれに専門の呼び方があります。
本などでは何の解説もなく使われる基本的な用語なので覚えておきましょう。
銀面
革の表面のことです。動物の外側の革です。
動物によっては「シボ」という特徴的な模様があったりします。
ワニ革なんかは「シボ」の代表的な例ですね。
下の画像がワニ革です。
床面
革の裏側を床面と呼びます。
床面はなにも処理をしていない状態だと毛羽立っています。
作品にするときは、トコノールなどを使って毛羽立たないようにきれいに仕上げます。
また、わざと綺麗に毛羽立たせたものがスエードやベロアといったものになります。
下の画像はスエードです。
コバ
ついでにもう一つ覚えておきたいのが「コバ」です。
コバとは革の切断面のことです。
作品を作るときは「コバ磨き」を行って、きれいになるまで磨いたりします。
下の画像はコバ磨きを行た場合の例です。
上に行くほど丁寧にコバ磨きがされています。
革の色について
販売されている革には赤や緑、黄色などカラフルなものも売られています。
これは、染色剤を使って革に色を付けているのです。
染色されている革は、染色しなおすことはできません。
染色の仕方にもいろいろあります。
主に、顔料仕上げと染料仕上げと呼ばれるものですが、
この2つの違いもわからずに革を買うと失敗します。
詳しくは以下の記事の最後の方に書いてますので、読んでみてください。
参考記事:レザークラフト初心者が知るべき革材料の買い方|半裁で販売されている革
結局初心者が買うべき革は!?
ここまで、いろいろと革について説明してきましたが、結局初心者はどういう革を買えばいいかわからないと思います。
一番お勧めのショップ
まず、いちばんおすすめできるショップは和乃革です。
このショップの本ヌメ革は栃木レザーと同じピット層鞣しの革です。
ピット層鞣しの革は革の中でも最高品質の革になります。
レザークラフトをやっている人にはぜひ一度は使ってほしい革ですね。
個人的にはこの店のオイルレザーなんかは品質の割にかなりお値打ちだと思います。
手縫いしやすい硬さと厚さで、レザークラフトにとても使いやすいです!
とにかく安く
とにかく安い革がほしい!!
そんな人におすすめなのが、革はぎれセットです。
はぎれとは、半裁の革の切れ端はどの寄せ集めになります。
いろいろな革はぎれセットが売ってます→楽天の革はぎれセット・Amazonの革はぎれセット
厚さもいろいろですし、大きさいろいろです。
はぎれの場合は、ショップによってはかなり当たりはずれがあります。
私が買ったやつに入っていたのはこんな感じでした。
福袋的要素もあって、自分では買わないような革も入っているので楽しいです。
その他のショップ
そのほかではgoodLEATHERをおすすめします。
このショップは革の種類が豊富でサイズも小さいサイズから大きいサイズまで購入可能なため、初心者にお勧めです。
とりあえず小さい革をいくつか購入してみて、小さい作品を作って、革の種類や感覚がつかめてきたら、大きい作品にもチャレンジするといいと思います。
また、上記のお店で売っていないような大きな革がほしい。けど、半裁ほど大きくなくてもいいという人はにレザーマニア 楽天市場店をお勧めします。
バッグなどの大きめのものを作りたいときはレザーマニア 楽天市場店の革が大きめのサイズがあるので便利です。
ただ、くどいようですが、和乃革の革が一番お勧めです。
「革好きが好きな革はこういう革だ!」という革が販売されています。
コメント
レザークラフト初心者です。先日このサイトを見つけて色々参考にさせてもらっています。
お聞きしたいことがあるのですが、床革は練習に使ってもいいものでしょうか?
大きくて安いので、失敗してもダメージが小さいですし、練習に使えそうなら買いたいと思っています。
それとも、普通の端切れを買ったほうが練習になるでしょうか?
床革を練習に使うのはアリだと思います。
ただ、やはり床革と通常の革では違うので、はぎれを使った方が感覚がつかめるのでおすすめです。
ある程度レザークラフトになれてきたら、作品の試作に床革などを利用するといいと思います。