革に菱目打ちで縫い穴を開け終わったら、糸で縫い合わせていきます。
この時に使う針と糸は普通の裁縫で使うものとは少し違います。
レザークラフト用の針は、先端がとがっておらず丸みを帯びているものを使います。
これは、革を刺してしまった時に傷をつけないためです。
糸はロウ引き糸を使います。ロウ引き糸とはロウ(ろうそくのロウ)が塗ってある糸のことです。
ロウを塗ることで糸の耐久性があがり、切れにくくなります。
ロウ引き糸を準備する方法は「自分で糸にロウを塗る」か「ロウが塗ってある糸を買う」のどちらかです。
個人的には最初からロウが塗ってある糸を買った方が楽です。値段もそんなに変わらないのでお勧めです。
なお、この先出てくる「糸」とは「ロウ引き糸」のことです。
縫う前の準備
縫う前に、針と糸を準備します。
針は2本必要です。
必要な糸の長さは革の厚さなどによっても変わりますが、縫う部分の4倍の長さがあれば十分です。
ここで、糸をケチると縫ってる途中で糸が足りなくなってしまうので、しっかり4倍の長さの糸を用意しましょう。
ちなみに、縫っている途中で糸が足りなくなった場合の対処法もしっかりあるので心配しなくても大丈夫です。
この方法はのちほど紹介します。
針と糸を用意したら、針の穴に糸を通していきましょう。
この時もレザークラフト独特のやり方があります。
まずは、普通に針の穴に糸を通します。通す糸の長さは針の長さの2倍程度です。
そのあと、通した糸の真ん中付近を針で刺します。
そして、そのあともう一度針で糸を刺します。
最後に、糸の先端を引っ張ると、糸が針から抜けなくなります。
このようにして、糸の両端に針を取り付けたら準備完了です。
縫い方
それでは、革を縫っていきます。
縫うときは両手で針を使うため、革を固定しておく道具があると、便利です。
この道具はレーシングポニーという専門のものが売っています。まぁなくてもできないわけではないですが、あった方が簡単に早く縫うことができます。
レーシングポニーは万力やアームクリップなどでも代用できます。
まずは、3番目の穴に左右の糸の長さが均等になるように針を通します。
1番目の穴ではなく、3番目の穴に通す理由は、2重縫いをするためです。
一番端は強度が必要になるため、2重に縫います。
そのため、最初に3番目の穴から1番目の穴に向かって縫っていき、1番目の穴まで縫ったら折り返して縫っていきます。
縫い方はいろいろあるのですが、ここではオーソドックスな縫い方を紹介します。
まず、片方の針を穴に通します。そして、少し糸が残るまで、針を引っ張ります。
そうすると、残った糸が輪っかになると思います。
この状態で、もう片方の針も同じ穴に通します。この時、すでに通してある糸を刺さないように気をつけましょう。
針を通したら、針が輪っかの中を通るようにして引っ張ります。これは最後まで引っ張って大丈夫です。
そして、最初の針を引っ張って、輪っかを失くします。これを繰り返していきます。
こうすることで、輪っかを通した面はななめ縫いに、通さなかった面は直線縫いになります。
これを基本として、両面とも直線縫いにしたければ、両面で輪っかを通さずに縫えばいいです。
両面とも、ななめ縫いにしたければ、両面で輪っかを作って、輪っかを通して縫うといいです。
裁縫などで布を縫い合わせるのが苦手な人でも、レザークラフトの場合は事前に穴が開いているので、穴あけさえきれいにできていれば、だれでも簡単にきれいに縫うことができます。
縫い終わり
縫い終わりも、縫いはじめと同じように二重縫いします。
一番最後まで縫い終わったら、2穴分くらい戻って二重に縫います。
二重縫いが終わった時点では、片方の面に針が1本ずつ出ている状態だと思います。
ここで、片方の面に針が両方ある状態にするために、どちらかの針を穴に通します。
結び目が見えないようにしたいなら、見えない方の面に針が2本とも出ている状態にします。
その状態で普通に糸を結びましょう。特別な結び方をする必要はありません。普通のかたむすびで大丈夫です。
結んだら余分な糸を切り取って、ボンドをつけておきましょう。こうすることでほどけにくくなります。
仕上げ
最後に、縫った糸を上からハンマーなどでおさえ(叩くのではなくおさえる)ておくと、糸の出っ張りが減り、摩擦などで切れる可能性が減ります。
糸が途中で足りなくなった場合の処置
縫っている途中で糸が足りなくなってしまうということがあります。
そういう時は、その時点で一度、結び目を作ってしまいます。
そして、2穴分くらい戻ったところから新しい糸で縫い始めます。
特に難しいことはなくこれだけです。2穴分戻ったところが縫い始めることで、ちゃんと縫い目がつながり、ほどけにくくなります。
コメント